父母の愛で怨讐を許す

父母の愛で怨讐を許す

 北朝鮮に行く前に、心の片隅に残っていたしこりをすべてほぐさなければならなかったのです。40年以上前から、私たちを迫害してきた金日成(キム イルソン)主席を許さなければなりませんでした。

 自分を殺そうとした怨讐としてのみ相手を考えてしまえば、許すことはできないでしょう。しかし、父母の立場、母の心情に立てば、許すことができるのです。刑場に出ていく息子を救うためなら、母親は国の法すら変えたいと思います。それが本然の父母の心です。私はそのような父母の愛をもって、怨讐を許そうと決意しました。北朝鮮から無事に帰ってこられるようにしてほしい、という祈りはしませんでした。
(『平和の母228ページ』)

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